【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
うわっ……すっごい美人……。
私よりも背の高い細身の女性。
黒い髪を低い位置で緩くまとめており、輪郭をなぞるように流れる後れ毛が妙に色っぽかった。
身体のラインがわかる白いスーツ姿に身を包み、毅然とこちらに目線を向けていた。
私と違って、大人の女性だということは、その外見から見て取れる。
でも、こんなに美しい人がどうして私の名前を知っているのだろうか……。
この辺じゃ見たことがない。
「突然声をかけてごめんなさいね」
「いっ、いえ……! あの、何か私に御用でしょうか……!?」
浮世離れした女性の目力は尋常ではなく、ただならぬ雰囲気を放っている。
「白坂凪って、ご存知かしら?」
「……っ、白坂……くん、ですか?」
すぐに白坂くんの名前が出てきたことに、驚きを隠せない。
……この人も、白坂くんを探しているの?
「ええ。至急、連絡をとりたいのだけど」
大丈夫……この人は女性だ。
それも大人の人。
白坂くんを追っている暴走族や、危ない人達ではないはずだ。
たぶん……。