【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
きっと、あの夜に白坂くんを囲んでいた男に違いない……。
恐らく、この場には剣崎ひとりだけなんだろう。
バイクのエンジン音が響いているけど、他の人の声はしなかった。
「もうひとりの男はどこへ行った? 銀髪の腰抜け男だ」
「あれ? 会わなかったのか。じゃあまたしくじったんだね。帰ったらお仕置きしておくよ。ごめんな凪? 楽しめなくて」
ガチガチと奥歯がぶつかって身体の震えが止まらない。
「剣崎。今は手を引いてくれ」
「んー? 聞こえないよ、なぁに? 凪」
楽しんでいるとしか思えない剣崎という男の声は不気味でしかなかった。