【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
……もう背中は汗だく。
私と違って、白坂くんはこれだけ汗をかいても爽やかだ。
「なんで入んないの? 早くおいで」
「うっ……」
そして私は今玄関から動けずにいるのだ。
だってここは男子の部屋だよ……?
涼太の部屋への出入りとはわけが違う。
「それ、一緒に食べるんじゃないの?」
私が離すまいと握り締めていたランチバッグを指さした。
「あっ、そうだった! 保冷剤も溶けてるし、そろそろ食べちゃわないと、せっかくの料理がダメになるかも……」
本来の目的は一緒にランチする予定だったから。
「じゃあ早く食べよ?」
白坂くんが靴を脱ぎ捨てて私を招き入れる。
「あの……おうちの人は?」
「誰もいないけど?」
「えっ、じゃあひとり暮らしって、ホントだったんだね……?」