【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
【刹那】嵐の前の静けさ
──宿泊学習当日は、白坂くんの言った通り本当に晴れた。
それは見事な快晴でまさに夏らしい天気。
「逃走劇もしばし休戦だな」と、乗り込んだバスの中で白坂くんは得意気に笑っていた。
そうやって白坂くんはいつも通りだっけど、キスしたことを思い出してしまった私は、なかなか顔を見れずに俯いてばっかりだった。
「ずっと休戦でいいよ……」
ここまではさすがに暴走族だって追っては来れないし、きっと大丈夫だと胸を撫で下ろして返事をした。
「はぁー!? 小夏と白坂が、アイツらに追われたですって!?」
「……っ、ハァッ、そ、そうなの! 」
今私の息があがってるのは追われてるんじゃなくて、山登りの真っ只中だからである。
一泊二日の宿泊学習に来た私達は今、バスから降りて新緑に囲まれた山の中にいた。