【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「相変わらずデカい声。ずいぶんな言い草だね、涼太くん」
不敵な笑みを浮かべる白坂くんに、私と涼太は口をパクパクさせてアホ面を晒すも、気にする余裕などない。
「な、なんでお前……」
「水瀬のこと、誰ももらってくれないって?」
「っ、そ、そうだろ! こんな奴!」
焦ったように口を動かす涼太と目が合った。
「ふーん。じゃあさっき言った通り俺がもらうよ」
「っ、」
「いいよね、涼太くん」
口もとは笑っているけど、見上げた白坂くんの瞳は、全然笑っていない。
「そんなこと……俺に聞くなよ! こんな可愛くない奴、知るか……っ」
涼太が吐き捨てる。
いくら腐れ縁とはいえ、涼太の放った言葉に胸がチクリと痛みを負った。
「腐れ縁のくせにそうやって一方的に水瀬を攻めて、自分は無傷なんだ? ズルいと思わないの?」
白坂くんは、カッコ悪いねアイツ、と私の耳元で囁くと今度はクスッと笑った。
白坂くんとの距離が近くて。
極上に整ったその顔に、釘付けになってしまいそうだった。
ホントにあの夜に見た白坂くんと同一人物なの?