【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ


「いいじゃねえか。あの頃の俺を見ても、顔色ひとつ変えない女は園田が初めてだったんだから」


「……それって、鷹村くんが、通り名で呼ばれてた時のこと?」


当時の鷹村くんか……。

想像しただけで怖そうだ。

私だったら、しっぽを巻いて逃げてるかも。



「ああ。家に帰ったら園田が客として来てて何度か鉢合わせたんだよ。で、そん時……園田は──」



───“あんたも、喧嘩ばっかりしてるの?”


───“その拳はなんのためにあるのよ。てっきり美味しいパンを作ってると思ったのに、ガッカリだわ!”



……と、澪ちゃんが夜鷹様を相手に堂々と物申したらしい。


私の友人はなんて勇ましいんだろうか。



「そんな女は初めてだった」


鷹村くんが生き生きしながら話してくれた。



「思い返せばあの頃の鷹村、目で人を殺しそうな殺気放ってたわね」



実は今もそうじゃないだろうかって思ってる人がここにいますよ……。


それが鷹村くんが澪ちゃんに惚れたきっかけってことなのかもしれないなって思ったら、少しだけほっこりする。

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