【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「はっ! な、なんだよお前……っ、カッコつけてんのか? 白坂は知らねーだろーけど、小夏なんか全然女子じゃねーんだからな!」
「へぇ。俺は可愛がる自信しかないんだけど」
目を細く緩ませて、そんな大胆な発言をする白坂くんに私は唖然とする。
「やっぱり……お前……あの時の……っ」
あの時……?
「もう十分でしょ? 涼太くん」
ほんの少し白坂くんの声のトーンが低くなった。
「………な、なんの、ことか……知らねーし!」
途端に焦りだした涼太はひどく動揺している。
「なら、ここで全部話そうか?」
「……っ!!」
白坂くんは漆黒に染まった冷たい瞳で、涼太を射抜くように見据えた。
「そろそろ俺に返せって言ってんだよ。それが聞こえねえのか? 柳涼太」
それは、あの闇夜の中で見た白坂くんのようだった。
涼太は驚きのあまり声を発することも出来ずに石のように固まっている。
一体、何がどうなってるの……?
理解が追いつかない。
私は、頭上で展開されるふたりの会話についていけなかった。