【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「私が……聞いちゃって、いいの? 過去のこと、言いたくないことなのに……」
無理に話すことはないんだよって伝えたいのに、上手く声にならなかった。
「ずっと隠してよーって思ってたよぉ? くるみの過去なんて、死ぬまで誰にも話すつもりなかった。お母さんにだって、悲しい顔させたくないから今でも言えないもん」
私に打ち明けることだって、どれだけ怖かっただろう。
若宮さんの横顔を、私はただただ見つめていた。
「いつも……“死ね”、“ブス”、“デブ”、“キモイ”……って、こんなこと毎日言われてて、消えちゃいたーい!ってくるみだって思った。みんながくすくす笑うの。くるみがいるだけで、笑うの……」
「っ、」
耳を塞いでしまいたくなる言葉ばかり。
苦しいのは若宮さんの方なのに、聞いてる私が泣きそうになった。
毎日心無い言葉に傷つけられた若宮さんを思うと、笑われるだけの自分の存在を思うと、胸が張り裂けそうになる。
……私も、耐えられない。