【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「でも、ある日……くるみ思ったの。同じ人間なのに、なんでこんな扱いをされなきゃいけないのよって、頭にきちゃったのっ! 自分を変えて、周りの奴らをビックリさせてやろってね!」
ムッと眉を吊らせる若宮さんからは決意みたいなものが伝わってくる。
彼女は、可愛いだけじゃないんだ。
華奢で、愛らしくて、守ってあげたくなるようなふわふわした女の子だけど、芯はとても強い。
「それからダイエットして、毎日走って、だけど夏の暑い日、気持ち悪くなっちゃって……くるみ、バス停のベンチで座ってたの。その時、涼太くんに出逢ったんだ」
──“大丈夫か!? すげぇ汗じゃん!”
それが、涼太が若宮さんにかけた最初の言葉だったらしい。
初めて知った気がした、私の知らない涼太を。
「くるみ、ビックリしちゃった。声かけてくれる人なんていなかったから。その時ね? 涼太くんに、恥ずかしくないんですかって聞いちゃったくらい」
「恥ずかしい……?」
「そうだよ? こんなデブに声かけて、みんなジロジロ見てますよって」
くるみってばすごい失礼だよねぇ、と若宮さんが眉を下げた。