【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「そしたら涼太くん、なんて言ったと思う?」
ぱっと顔をこっちに向けた嬉しそうな若宮さんに、私は首を振った。
───“それを恥ずかしいとか思ってる奴のほうが恥ずかしいじゃん!”
「……涼太が? そう言ったの?」
「うん。すごいでしょ涼太くん。くるみね、いつも酷いことしか言われてこなかったから……嬉しくて泣いちゃったの」
言いながら若宮さんが鼻を啜った。
「涼太くんのおかげで、いい人もいるんだなぁって思って……涼太くんは覚えてないと思うけど……でも、告白の返事をもらえないのは、過去のことを打ち明けていないから、罰が当たったのかな……」
私だったら言えない……と思った。
ズルいくるみのことを神様は見てるのかも、と切なげに吐き出された声に、私は頬を張られた気持ちになる。
涼太の様子がおかしいってわかっているのに、目を逸らして逃げてる私の方がズルい。
隠し事をされてることが嫌なんじゃない。
どうしてか、知るのが怖かったからだ。