【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
【記憶】一年前の夏祭り
「なんだよ、話って……」
お風呂を済ませたあと、隣のクラスの男子に伝言を頼んで、階段下に涼太を呼び出した。
「まだドライヤーしてねぇのによ」
ふてくされたみたいに涼太は言うけど、髪を乾かさずにきたのは私も同じだった。
「先生達の見回りが来る前に話そうと思ったの」
「わざわざ宿泊で話すことなのか?」
涼太が階段下の壁に寄りかかった。
「ちゃんと話そうと思って。涼太……最近ずっと様子が変だよ? 何を隠してるの?」
私が単刀直入に聞いたせいか、正面に立つ涼太の顔色が変わった。
「……」
「もう誤魔化さないでよ。涼太と白坂くんには、何があったの?」
ふたりが知り合いじゃないはずがない。
それはもう明白だ。
重くのしかかった沈黙を破るように、涼太がようやく口を開いた。