【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「俺だって……っ、若宮のこと、真剣に考えてんだよ……」
「じゃあ、なんでそんなに後ろめたい顔をするの?」
こんな顔をする涼太を私は知らない。
教えてもくれないくせに、傷ついたみたいな顔をして、苦しそうにしている。
「こんな俺じゃ……このままじゃ、俺のことを強くてあったかい人だねって言ってくれた若宮に後ろめたくて……」
「だからここで全部吐き出してよ! どうして、私に言えないの……?」
「やっぱり言うのが怖ぇ……ごめん小夏……」
吐き出された涼太の声は震えていた。
「……何が怖いの? 大丈夫だよ。私は、何を聞いてもちゃんと最後まで涼太の話を聞くから……子供の時からそうだったでしょ? 涼太が悪さして叱られても、半分こだったじゃん」
なだめるように、私は涼太の手を握った。
子供の頃のように。
けど、涼太の手は、温度を失くしたように冷たい。