【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
* * *
──北区にある赤森(あかもり)神社の夏祭り。
その夏祭りはこの辺じゃ一番大きなお祭りで、あちこちから人が集まる。
毎年、私は決まって涼太と行く。
来年からは高校生だから、楽しめるのは今年が最後かもしれないね──冗談混じりで私がそう言ったら、
「だな? 来年は俺彼女と行くし……!」
隣を歩く涼太が得意気に答えた。
「涼太に彼女? あはは! 出来るわけないじゃん」
私がケラケラ笑うとすぐに涼太がムキになった。
「なっ……!? 小夏に言われたくねぇし! 俺に彼女が出来ても嫉妬すんなよ?」
「それはこっちのセリフ……!!」
「小夏みたいにすぐにムキになる奴の彼氏なんか、誰も務まんねーよ……っ!」
宵闇の中、いつも通りの言い合いを繰り広げ、赤森神社まで歩いた。
最近じゃ身長も伸びて、髪にワックスとかつけはじめて色気づいてるのかもしれないけど、涼太に彼女なんて出来ないよ!とひとりごちる。
私と涼太はこのまま変わることなんてないと、この時は思っていた。