【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
苦痛に顔を歪ませる涼太を、数人の男達が見下ろしてニヤニヤ笑っている。
「や、やめて……! 」
私は力の限り叫んだ。
突然、涼太を襲った出来事に、恐怖で声が震えていた。
「あ? なにお前? 女連れだったのか?」
私を一瞥した男は涼太の顎を叩きながら問いかける。
「………来るな……」
地面に倒された涼太が声を絞り出した。
「一丁前にヒーロー気取りか? 面白いな?」
涼太の耳を引っ張り上げ不気味に囁いた。
「子供相手に……恥ずかしくないんですか!? 今すぐ……離してください……」
怖かった。
それでも、涼太を助けたかった。
お願い……。
ふらつく足を必死に踏ん張って、なんとか身体を支えて叫んだ。
中学生相手に、こんなことをするなんて非道極まりない。
「……へぇ。見かけによらず、威勢がいいんだね」
恐怖と怒りが込み上げてきたその時、背後からやけに落ち着き払った男の声がした。