【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
* * *
「……な………つ! 小夏………!!」
次に目を覚ました時には、私は病院のベットの上にいた。
「あぁ……よかった。心配したのよ……!!」
お母さんが私の顔を抱きしめて泣いていた。
「熱中症で倒れたって……境内にいた人が救急車を呼んでくれたから、大事には至らなかったの……」
くしゃくしゃの顔でお母さんが涙を拭った。
そっか、私……熱中症だったんだ。
「涼太は………?」
首だけを動かして病室内を見ると、ドアの前にひっそり佇む涼太がいた。
「お医者さんに知らせてくるから、涼太くん、小夏を見ててね?」
お母さんが病室を出ていくと、涼太がそっと私のベットまで歩み寄った。
「……あの男達は?」
叱られた子供みたいな顔で、涼太が小さく首を振った。
「逃げたの?」
そこで涼太の顔が苦痛に歪んだ。
うんと静かに頷いたその頬は、赤く腫れていて、土がついている。