【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「塾の帰りに見たって子がいるの!」
「暴走族の幹部と白坂くんが!?」
「それって、ヤバくない?知り合いってわけじゃないよね? 喧嘩とかしてないかな……」
北区は毎年夏祭りが開催される場所だけど、この辺じゃ割と荒れている。
その北区で恐れられているいくつかの暴走族の存在は、中学の頃に噂で聞いて知ってはいたけど……。
「さすがモテ男だけあって、すごい噂ね?」
登校してきた澪ちゃんもその噂は聞いていたようだ。
「朝からすごい騒ぎだよ……そういえば、白坂くんのこと、どこかで見たって澪ちゃん言ってたもんね……?」
「そーそー。危なそうな奴ってのは、なんとなくわかる気がするけど」
ドキリッ!
……って、なんで私がヒヤヒヤするのよ。
「そ、それは、危ない噂が流れてるからじゃないの……?」
「ううん。わたしの記憶が正しければ、もっと違う呼び方されて気がするのよね」
違う呼び方……?
ますます謎が深まるよ。
「それに、白坂って学年きってのイケメンだけど、たまーに黒いとこが垣間見えない?」
おお、鋭い……。
実は私も血だらけの拳を握っていた白坂くんを見たことがある!とは言えない。
それに言われてみれば、昨日も先輩方に囲まれた時にも黒い部分が見えた気もするし。
「あれは白坂じゃなくて“黒坂”って感じ」
ピッタリ……。