【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「どうした?」
「ねぇ、白坂……くん……あそこにいるのって」
見間違えたのかと思って、二度見した。
そして、戦慄が身体を貫いた。
私達がここに来ることを知っていたみたいに、路肩に寄せられている黒塗りの車があるからだ。
ドクリ、と心臓が不快な音を鳴らす。
危険だとわかっているけど、その道を通らないと、家までは辿り着けない。
「……ヒッ」
後部座席の窓が半分開いた。
そこからこちらを凝視している女の人……。
私に言付けを頼んだあの人だ。
汗ばんだ肌がひんやりした。
「ストーカーだろ、あの女」
白坂くんは苛立ったように文句を落とした。
「ちょっと待って、白坂くん!?」
その人の方へと進み始める白坂くん。
私は縫い付けられたように動けなくなる。