【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「わかっているくせに。凪、あんたに会わせたい人がいるのだけど」
ほ、ほら……。
やっぱりそれって剣崎のことだよ。
白坂くん、今すぐ逃げようよ……!!
言葉に出来ない代わりに、私は白坂くんの服の裾を引っ張って合図する。
「またそれかよ」と、白坂くんが不満げに発した直後だった。
この閑静な住宅街を裂くようなバイクの音が響き渡ったのは。
轟音が耳にねじ込まれていく。
「白坂くん……!!」
耐えきれずに悲鳴染みた声をあげた。
「もう来たみたいね? どうする、凪?」
「お前が教えたのか? 俺らの居場所」
「バカね。わたしがリークしなくたって、剣崎は前々からここに目をつけてるじゃない」
そうだ……。
私が初めて白坂くんを見た夜も、剣崎はここにいたのだから。