【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
* * *
「……ねぇ、白坂くん。暑くないの?」
家の前まで迎えに来てくれた白坂くんを視界に映すや否や、第一声がそれだった。
我ながら他になかったのか、と思ったけど、真夏には相応しくないそのパーカーに、真っ先に目がいっちゃった。
……しかも、夜なのに黒って。
「別に? これくらいしないとでしょ」
この前と同様、厳戒態勢なんだろうってことは察した。
「そ、そうだけど……人混みに紛れるし、大丈夫だとは思いたい……」
「俺がついてんだから、身の安全は保証する」
フードを外した白坂くんの目元がようやくはっきり見えた。
爽やかな笑顔は安心感を与えてくれる。
「ん……ありがとう」
大丈夫……と、心の中で言い聞かせる。
とにかく、はぐれちゃったら探すのに苦労しそうだから、そうならないように気をつけなきゃ。