【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「そんな顔しないでよ。俺は今日楽しみにしてたのに」
白坂くんの屈託のない笑顔。
それに比べて、どうやら私は思いっきり顔に出ていたみたい。
楽しみにしていたのは私も同じなのに。
朝からずっと天気予報を何度も確認したくらいだ。
提灯に囲まれた赤森神社には、今年も夏祭りを楽しみにしていた大勢の人々が集まっていた。
去年よりも人が多い気もする。
賑やかな会場内に足を踏み入れると、ずらりと並んだ屋台からいい香りがしてくる。
これだけ人がいれば、襲われることはない。
大丈夫……だよね。
「腹減ったな」
そんな私の心配とは裏腹に、白坂くんがケロリと言ってみせる。