【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ


賑やかなこの場所で、私の蚊の鳴くような声が白坂くんに聞こえていたかはわからないけど。



「聞こえなかった。なに?」

「うっ……」


や、やっぱり聞こえてない……。


ん?と、白坂くんが耳を傾ける仕草をする。


もう一回言うの!?

恥ずかしくて言えるわけないじゃん……っ。


どうしようと俯いていたら、私の手に白坂くんの手が触れた。


───グイッ


そして突然、右手をさらわれる。


絡めとるように繋がれて、強引に引き寄せられた。


慌てて白坂くんに視線を走らせると、視界いっぱいに、白坂くんの綺麗な顔があった。


ドキンっと揺れる鼓動がたちまち速くなる。



「水瀬はこれだけでいいの?」


口角を上げて不敵に微笑む白坂くん。

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