【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「ずっと、怖くて隠してたんだ……俺のせいで、白坂は──」
涼太の声はひどく掠れて、その先は聞き取れなかった。
「そうだよ。お前は逃げたんだ。逃げたくせに、とんでもない奴を送り込んできた。あの片割れ──白坂凪」
卑怯者だね、と笑った剣崎が、涼太の髪を鷲掴みにして揺さぶった。
「思い知れよ。臆病者の汚いお前のせいで、関わった人間がどんな悲惨な末路を辿るのか、テメェの目に焼き付けろ」
剣崎が吐き捨てると、赤く腫れ上がった涼太の目から、涙が零れ落ちた。
「もういいよ涼太……っ、こんなの怖くて当たり前だよ……逃げたって、いい……」
それでも、今はどうかお願いだから、もう涼太を許して。
私達を解放して。
誰か、助けて、お願い……。
怖いくらい静かなこの場所には、誰の姿もない。
このままだと、涼太が死んじゃう……。