【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ


「ずっと、怖くて隠してたんだ……俺のせいで、白坂は──」



涼太の声はひどく掠れて、その先は聞き取れなかった。



「そうだよ。お前は逃げたんだ。逃げたくせに、とんでもない奴を送り込んできた。あの片割れ──白坂凪」



卑怯者だね、と笑った剣崎が、涼太の髪を鷲掴みにして揺さぶった。



「思い知れよ。臆病者の汚いお前のせいで、関わった人間がどんな悲惨な末路を辿るのか、テメェの目に焼き付けろ」



剣崎が吐き捨てると、赤く腫れ上がった涼太の目から、涙が零れ落ちた。



「もういいよ涼太……っ、こんなの怖くて当たり前だよ……逃げたって、いい……」



それでも、今はどうかお願いだから、もう涼太を許して。


私達を解放して。


誰か、助けて、お願い……。


怖いくらい静かなこの場所には、誰の姿もない。


このままだと、涼太が死んじゃう……。

< 263 / 367 >

この作品をシェア

pagetop