【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「どうしたの? 凪、すごく怖い顔してるよ?」
剣崎は三日月のように目を細くした。
「離せと言ってる。今すぐにだ」
「へぇ。俺がここにいること、さっき逃げ出したガキにでも聞いたのかな? じゃあ凪は、真の勇者ってとこか……」
キミを横たわらせた剣崎が、ふらふらと俺の前に歩み寄る。
薄ら笑いは気味が悪い。
早くキミをここから連れ出したいけど、一筋縄ではいかないことを覚悟した。
「デカい口きいてんじゃねぇぞ!!」
青いメッシュがバカほど似合わねぇ男が、俺の頭を押さえる。
すぐに他の奴らが加勢した。
殴り合っている間、剣崎は観戦者にでもなった気分で手を叩いて陽気な声をあげていた。
「……おぇっ、」
「汚ねぇな、おい。さっき何食ったんだよ?」
青メッシュの男がごろんと白目を向いて倒れ込んだ。