【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「あれ? 早かったねぇ凪。もう倒しちゃった。すごいじゃないか」
「……さっさとしろ。どうせ、ただで返すつもりはないんだろ」
「あはは。よくわかってるね凪は。待ちくだびれて身体が動くかわからないから、期待を裏切ったらごめんね?」
袖をまくると、ヘラヘラ笑った剣崎の拳は俺の顔面に飛んでくる。
ギリギリで避けたけど、一秒でも遅れていたら顎外れてたな……。
さすが時期鬼神の総長だ。
悪名高い男。
「やっぱりさ、喧嘩は王者のふたりでするものだよね?」
一切容赦なく殴りかかる剣崎は、さっきから急所だけを狙ってくる。
今まで剣崎が潰した族はいくつだったかわからないが、必ずといっていいほど、コイツが現れた場所には血の雨が降る。
己の強さをひけらかしたいだけの、冷酷非道な男。