【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「は? 頼りないのはテメェもだろ。それを今日は思い知れ」
唇を歪めた直後、ドスンッと鈍い音が耳にねじ込まれた。
「白坂くん……っ」
声を絞り出して私は叫んだ。
「あはははは。なぎちゃんカッコわるぅい」
剣崎に殴られても、白坂くんは手を出すどころか、身を守ることもしなかった。
どうして……?
それに苛立った剣崎は、白坂くんの身体を蹴り上げた。
「本気出せよ凪……なんのために、一年間泳がせてきたと思ってんだよ? この夜を、俺がどれだけ待ちわびていたかわかるか?」
剣崎は、目を血走らせて睨みつける。
「期待裏切って悪いけど、俺……もう喧嘩はしないよ」
澄んだ声が、静寂に木霊した。