【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「柳……?」
ボロボロの涼太が、剣崎が振り降ろしたその拳を胸で受け止めていた。
「涼太……!!」
苦しみもがく涼太が、だらんと倒れ込んだ。
「なに、してんだよ……っ。ヒーロー気取ってんなって言ったろ……」
涼太がうっすらと目を開いて、白坂くんの顔を見上げた。
「……ごめん、白坂」
「っ、」
「俺が弱くて、逃げ出したせいで、全部お前に背負わせて……ごめん……」
擦り切れそうな声と同時に、プツンと意識が途切れた涼太は目を閉じた。
剣崎さえも驚いて、目を見開いている。
慌てて涼太に駆け寄ったその瞬間……
キィーッと耳を裂くような車のブレーキ音が聞こえた。
その中に混ざって複数のバイクの音がある。
「……あはは。もう終わりだね凪。さぁ、ここで終焉を迎えよう」
何かに気づいた剣崎が、いやらしく笑う。
近づいてるいくつもの慌ただしい足音。
仲間がきたんだ……。