【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
百合さんの視線がピタリと止まる。
「ほら、やっぱりいた。あなたはテントで待っててって言ったのだけど、心配でついてきちゃったのね」
「わっ、若宮さん!?」
神社の少し先……木の影に身を寄せて、こちらの様子をうかがっている。
「……っ、ごめんなさい。くるみ、どうしても……涼太くんが、心配で……っ」
赤提灯でぼんやりと見える、ハチミツ色のおだんごヘア。
目を泳がせる若宮さんを見て、一番驚いていたのは涼太だった。
「いいのか? 若宮のことひとりにして」
それに気づいた白坂くんが涼太に声をかける。
「今度は逃げるなよ?」
真っ直ぐな声で、涼太の背中を押す。
Tシャツで顔をごしごしこすると、涼太が一歩踏み出した。