【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「涼太、ありがとう……」
「っ、」
私はその背中に向かって言う。
ずっと見てきた涼太の背中が、意外と男の子らしいってことに今さら気づく。
「話してくれて嬉しかった。でも……これからは、隠しごとはもうなしだからね?」
「……ああ」
涼太が声を詰まらせたのがわかる。
私まで、なぜか泣きそうになった。
「それに、若宮さんを置いて逃げたら、私は次こそ許さないから」
涼太が強く拳を握った。
だから私はそれ以上なにも言わない。
「まかせろ……っ」
真っ直ぐに駆けていく後ろ姿を見送る。
その背中は、今まで過ごした中で、一番頼もしく見えた。