【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「夏休みが終わるまで、俺と付き合って」
「……っ、なんで、私なの?」
「水瀬がいいから」
私がいいって言われても……。
「私……白坂くんのことよく知らないし……それに、白坂くんと涼太との関係だって、まだわかってないし……」
昨日の会話から察するに、ふたりに何かあったとしか思えなかった。
「付き合えばきっと全部わかるよ」
「全部? 本当に……?」
「そう。それに、涼太くんじゃ頼りない。いい加減俺に振り向いてよ」
……た、頼りないって。
どういう意味なのか聞きたかったけれど、膝をついたまま私を見つめ続ける焦げ茶色の瞳が、それを阻止する。
「そろそろ涼太くんだけじゃなくて、俺のことも知ってよ?」
それはまるで、私だけが白坂くんのことを忘れているみたいな言い方にも聞こえる。
「俺はずっと見てんのに」
だから、私まで胸がキュッと苦しくなった。
「ひ、ひとつだけ、教えて?」
「なんでも教えるよ」
「白坂くんは危ないことしてるの……?」
自分の目で見た光景もそうだけれど、以前から噂が流れているのも事実。
「俺からはしてないよ。ただ、危ないことに巻き込まれることはあるかも?」
若宮さんが言っていた通りだ。