【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「んじゃ、わたしちょっと呼ばれてるから」
……と。
小走りで教室の入口へと向かった。
そこには隣のクラスの鷹村 雅(たかむら みやび)くんがいる。
鷹村くんは、藍色の髪をしていて、無口でワイルド、ポーカーフェイス。
というか、無表情。
いや……悪くいえば目付きが悪くて、怖そうな男子。
ホントに私と同じ高校生……?
誠に失礼だけど、それはもう目で人を凍死させてしまいそう。
なんとおうちはパン屋さんで、澪ちゃんいわくパンをくれる仲間だとか。
どんな仲間よ、とも思ったけど、友達らしい。
そしてなぜかこの鷹村くんだけが同じ学年で唯一、白坂くんのことを「凪」と呼び捨てにしている。
ふたりが同じ中学の出身とか、仲がいいとは聞いたことがない。
白坂くんの謎が深まる一方だな、と考えていたその時。
「水瀬いい匂いする」
「っ、ひゃあ……っ!!」
突然、背後から現れた白坂くんが顔を寄せてくるから悲鳴をあげるはめになった。