【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「やっぱり今日はひとりで帰るから……っ」
ずっと顔が熱いしこんなの初めてだ。
見られたくなくて素早く踵を返した。
「攻めすぎもよくねーか」と、微かに“黒坂”くんっぽいトーンの声が聞こえた。
「水瀬」
「……っ、な、なに?」
背中に声が飛んできてくるりと振り返れば、
「今日はさっきみたいな水瀬の顔見れたから満足した」
「そ……ソウデスカ! じゃあ、白坂くんまた明日学校でね!」
心底嬉しそうな顔で笑うから、不覚にも胸がキュンと音を奏でる。
そんな笑顔は反則だ……。
あれだけ涼太と一緒にいたのに一度も感じたことのない感情に戸惑いを覚える。
白坂くんのあの笑顔が、いつまでも瞼に焼き付いていた。