【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「どうした? 何を黙ってる。もう一度沈めてやらなきゃ懲りないんだろう?」
噴煙(ふんえん)まとう鷹のように、その手はピアスを刺した男の脳天を片手で押さえ込んだ。
「た、頼む……っ! 許してくれ……」
「俺らは……ただ、あの人に指図されて来ただけなんだよ!」
白坂くんから手を離したふたりの男は、悲鳴に近い雄叫びを上げ、一目散に走り出した。
「臆病風に吹かれたか」
無表情を貫いていた鷹村くんがニヤリと笑うと、銀髪男へ視線を落とす。
「お前も地獄に堕としてほしけりゃ、いつでも来い」
「く……クソが……!!」
睨み殺す眼差しを送る鷹村くんの言葉に、対峙していた銀髪男はその後沈黙した。
抗えない恐怖から逃げるように、地面を這いずり、目にも留まらぬ速さで姿を消した。