【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「大丈夫か、凪」
「ああ。悪いな雅。助かった」
「以前にも用心しろって言ったはずだぞ。あの連中は、蛇のようにとことんしつこいからな」
険しい表情を見せると鷹村くんは舌を鳴らした。
「雅の言う通り、今回は迂闊だったよ」
「それに、これで終わりじゃないだろう? むしろ奴らが宴を始めたとでも思っていた方がいい。わかったな、凪」
「わかってるよ。あの日から腹括ってんだから」
「賢いじゃねえか。それに、今後は水瀬の存在は凪の弱味になる。しっかり守れ」
淡々と行われるふたりのやり取りがまるで理解出来ずに、私と澪ちゃんはそろって顔を見合わせた。
一体、ど、どうなってるの……?
「園田、怪我はないか?」
威風堂々、振り向いた鷹村くんが澪ちゃんに問いかける。
「あ……わたしは平気よ! でも……なんで、ここに鷹村が?」
「これをお前に渡しそびれた。追いかけてきてみれば、あのザマだ」
はい、と鷹村くんが澪ちゃんに茶色い紙袋を手渡した。