【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
……怖かった。
さっきの白坂くんは、私の知ってるクラスメイトの白坂くんじゃないみたいで。
それは“黒坂”くんよりも怖くて、もう別人みたいだったから。
だけど、本当に怖いと思ったのは……
「怖かったよ、バカ……白坂くんが男達に殴られて、再起不能にされたらどうしようって……っ」
髪の長い男の言葉が蘇る。
あの男はいなかったけど、もし現れたらと思うと怖かった。
……白坂くんが居なくなることになったら、そんなの怖いに決まってるじゃん。
「水瀬?」
「ようやく白坂くんのことを知ってみたいと思ったばかりなのに……今は彼女仮、だけどさ……」
きっと、私の知らない白坂くんが、もっといる。
私だけが知らない白坂くんのことを、どうしようもなく知りたいと思ってしまう。
本音をもらせば、白坂くんの大きな瞳が驚きに染まった。
「……ごめん。心配させた。でも水瀬のことは、何があっても守るから」
「ん……」
白坂くんは私の輪郭をなぞるように、そっと優しく髪に触れた。