【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「そうだ。むしろいい男の部類だろうな、剣崎は。俺から見ても極上だが、あの長い髪は俺はあまり好きじゃねぇ」
え……?
私は無意識に鷹村くんを見上げていた。
「髪が、長いって……」
「漆のように黒い髪の男で、制服を脱げばより箔(はく)が付く。それが剣崎だ」
闇夜に浮かぶ、作りもののような妖しい横顔が蘇る。
あの夜、白坂くんを捕らえようとしていた男とほぼ同一人物だろう。
けど……私には、どうしてかそれだけじゃない気がするんだ。
ざわざわと背中が粟立つ嫌な感覚がする。
上手く説明がつかないけれど、危険な男だってことは理解出来る。
万が一、その剣崎という人に出くわしたら、私の息の根は止まるかもしれない。