【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ


「それに逃げ道は中学の頃から教えてきたから、凪は逃走の名人でもあるしな?」


「ソ、ソウデスカ………って、逃走の名人っていうのは……?」


「凪は逃げ足がめちゃくちゃ速いだろう?」


「へ? 言われてみれば……」


逃げ足は知らないけど、体育祭でもブチ切り一位でゴールしていたっけ……。



「まぁ、凪とは仲良くしてやってくれ。例え今は仮の女でも、頼むよ」



澪ちゃんめ、鷹村くんに彼女仮ってこと話したな……!



「う……うん。鷹村くんは、白坂くんと仲が良かったの?」


「俺と凪はどこの族にも籍を置いてなかったし、元々関わり自体はなかったんだ。それなのに、ある日突然、血まみれのアイツが俺の前でぶっ倒れやがってな」


「………ち、血まみれ!?」


「そうだ。昨日の銀髪男は知らねえが、他のふたりに喧嘩を売られたことがある。息の根を止めたところに、凪が急に倒れ込んできやがった」


思い出したように鷹村くんがふんっと笑ってみせた。

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