壊せない距離
「すみません、せっかく誘って頂いたのに。料理はすごく美味しかったです。ありがとうございます。」
「それなら良かった。」
行こうか、と声をかけられ、会計へ向かう祐樹さんの後ろをついていく。
会計が終わり店の外に出たところで、財布から今日の金額程を取り出し手渡そうとしたけれど、祐樹さんがそれを制止した。
「今日誘ったのは俺だから、ごちそうさせて。」
「でも、この前もそう言ってごちそうになってしまったから…」
「それじゃあ、日曜日に元気なら、どこか一緒に行ってくれない?」
突然の誘いに、戸惑った。
今までは仕事終わりの食事だけだったから、休みの日に誘われたのはこれが初めてだ。
「葵ちゃんのこと、良いなって思ってるから。さすがにこの年では大恋愛で付き合う、なんてなかなか出来ないけど。良かったら、俺と付き合ってほしい。」
ライダースのジャケットが少し肌寒く感じる、11月下旬。そろそろコートを出さなきゃ、なんて呑気なことは考えていられなかった。
祐樹さんが私のことを気に入ってくれていることは何となく気づいていたけれど、まさか今日告白されるなんて思ってもみなかったから返事に困る。
良い人だとは思うけれど、まだ祐樹さんのことを知らない。
これから知っていけば良いという考えもあるだろうけれど、ダメだった時に別れることを考えると安易に返事もできない。
どうしよう、と困惑したように瞬きの回数が増える。
そのことに祐樹さんも気づいたんだろう、「ごめん」と苦笑しながら声をかけてくれた。
「急にそんなこと言われても、困るよね。返事は急がないから、考えてみて。もし、少しでも可能性があるなら、日曜日に俺と会ってほしい。それで良いかな。」
「…はい。」
「良かった。じゃあ、帰ろうか。」
「それなら良かった。」
行こうか、と声をかけられ、会計へ向かう祐樹さんの後ろをついていく。
会計が終わり店の外に出たところで、財布から今日の金額程を取り出し手渡そうとしたけれど、祐樹さんがそれを制止した。
「今日誘ったのは俺だから、ごちそうさせて。」
「でも、この前もそう言ってごちそうになってしまったから…」
「それじゃあ、日曜日に元気なら、どこか一緒に行ってくれない?」
突然の誘いに、戸惑った。
今までは仕事終わりの食事だけだったから、休みの日に誘われたのはこれが初めてだ。
「葵ちゃんのこと、良いなって思ってるから。さすがにこの年では大恋愛で付き合う、なんてなかなか出来ないけど。良かったら、俺と付き合ってほしい。」
ライダースのジャケットが少し肌寒く感じる、11月下旬。そろそろコートを出さなきゃ、なんて呑気なことは考えていられなかった。
祐樹さんが私のことを気に入ってくれていることは何となく気づいていたけれど、まさか今日告白されるなんて思ってもみなかったから返事に困る。
良い人だとは思うけれど、まだ祐樹さんのことを知らない。
これから知っていけば良いという考えもあるだろうけれど、ダメだった時に別れることを考えると安易に返事もできない。
どうしよう、と困惑したように瞬きの回数が増える。
そのことに祐樹さんも気づいたんだろう、「ごめん」と苦笑しながら声をかけてくれた。
「急にそんなこと言われても、困るよね。返事は急がないから、考えてみて。もし、少しでも可能性があるなら、日曜日に俺と会ってほしい。それで良いかな。」
「…はい。」
「良かった。じゃあ、帰ろうか。」