壊せない距離
幼馴染という彼
「水瀬、これ、この前の出張の領収書。遅くなってごめん。」
終業間際も17時15分。本当に申し訳ないと思っているのか怪しい笑顔を浮かべながら、同期の鈴原俊は領収書を手渡してきた。
「まったく。私だからってちょっと遅れても許されると思ってるでしょ。次遅れたら処理しないでシュレッダーにかけるわよ。」
「ごめんごめん、今度なんかおごるから、許してよ。」
「じゃあ次の同期会の幹事は鈴原に任せるね。」
「嘘だろ。俺来月も出張ばっかりで忙しいんだけど。」
「よろしくね。じゃ、領収書は確かにお預かりします。」
「…仕方ないか、分かった、代わるよ。」
鈴原から受け取った領収書を手元に、出張費の精算の処理を行う。
「あ、そういえば、水瀬。これやるよ。」
戻る直前に思い出したように、私に袋を投げつける。
慌ててパソコンから手を離し、それを受け取る。ラベルは確かにうちの会社のものだけど、見たことのない商品だ。
「これ何?」
「次の新作の試作。俺ホワイトチョコ苦手だから、良かったら食べて。」
「ありがと。でも幹事はよろしくね。」
はいはーい、と手を振って出ていく鈴原を見送って、再びパソコンに向き合った。
終業間際も17時15分。本当に申し訳ないと思っているのか怪しい笑顔を浮かべながら、同期の鈴原俊は領収書を手渡してきた。
「まったく。私だからってちょっと遅れても許されると思ってるでしょ。次遅れたら処理しないでシュレッダーにかけるわよ。」
「ごめんごめん、今度なんかおごるから、許してよ。」
「じゃあ次の同期会の幹事は鈴原に任せるね。」
「嘘だろ。俺来月も出張ばっかりで忙しいんだけど。」
「よろしくね。じゃ、領収書は確かにお預かりします。」
「…仕方ないか、分かった、代わるよ。」
鈴原から受け取った領収書を手元に、出張費の精算の処理を行う。
「あ、そういえば、水瀬。これやるよ。」
戻る直前に思い出したように、私に袋を投げつける。
慌ててパソコンから手を離し、それを受け取る。ラベルは確かにうちの会社のものだけど、見たことのない商品だ。
「これ何?」
「次の新作の試作。俺ホワイトチョコ苦手だから、良かったら食べて。」
「ありがと。でも幹事はよろしくね。」
はいはーい、と手を振って出ていく鈴原を見送って、再びパソコンに向き合った。