壊せない距離
幼馴染という決意
蒼とあんなやり取りをしてから、もう3週間が経った。

出張続きの蒼と、本社で過ごすだけの私は、どちらかが避けていれば簡単に会わずに済むことを知った。

蒼は何度か経理部に顔を出していたみたいだけれど、私が何度も避けていることに気づいたのか、最近はあまり顔を出さなくなった。

そもそも今までは、立替経費の領収書の期日が遅れていたから経理部の人間に渡さなければいけなかっただけで、期日通りに提出していれば提出BOXがあるからそこに入れておけば問題ない。

私以外に頼める人がいなければ、ちゃんと期日通りに出すんじゃない。

これからも、私がいなかったらどうするつもりなんだろう。

あぁでも、蒼のことが好きな後輩たちがいるから、その子達に頼めば簡単だろう。

結局、幼馴染として便利に頼まれていただけだったのかもしれない。


もうすぐ1年が終わるというころ、経理部は年末調整に明け暮れていた。期日までに提出するよう全社員に周知をしているけれど、全員が期日を守れることはほとんどあり得ない。

例にもれず鈴原は、相変わらず遅れて年末調整の書類を提出してきた。



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