壊せない距離
翌日。
いつもより早く寝たおかげですっきりと目覚めた朝はホテルの朝食をとったあと、満坂百貨店に入っている他社のリッチなお菓子をいくつか購入した。

大阪のデパ地下のお菓子にはとても興味がある。

大阪、とりわけ満坂百貨店は製菓会社とコラボしてデパ地下限定のお菓子をいくつも売り出している。

そのどれもが、毎日開店から並ばないと購入できないものばかり。

どのお店も人気は徐々に落ち着きつつあるらしいけれど、それでもいつも閉店間際には売り切れになるらしい。と、昨日夕飯後に寄ったときに知った。

「無事に買えてよかった。」

自分用と凛、家族のお土産を購入して両手には紙袋でいっぱいだ。

『お品物、おまとめ致しましょうか?』と最後に寄ったお店で声をかけられ、手には満坂百貨店の大きな紙袋。

今日買い物したどの店でも、確かに、と言われるほど対応が良かった。

笑顔いっぱいに、些細なことにも気づいてくれる。お客に背を向ける時は必ず一言挟んでから、待った時間は数秒でも『お待たせいたしました』と言う。

販売員として当たり前のことでも、それを従業員のほとんど全員が徹底されているようで、どの売り場でもそのような感じだった。

素晴らしい対応をされるより、小さな心遣いを当たり前のようにしてくれる方が客としては嬉しいのかもしれない。さすが、顧客対応に定評のある百貨店だと感嘆する。

新幹線の時間まではあともう少しあるけれど、難波や天王寺にまで足を運ぶ時間はなさそう。

本屋で雑誌でも買ってから、少し早いけれど新大阪駅に向かおう。




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