壊せない距離
目覚めたときはまだ明け方で、蒼はまだ眠ったままだった。

裸で眠っていた自分に恥ずかしくなって、その場に落ちていた服を慌てて身に着けた。

私は全部脱がされていたのに、蒼はズボンだけ脱いでいたようで、ジーンズが床に落ちている。

初めては出血しやすいと聞くけれど、私の場合はそんなことなかったみたいで、シーツが乱れた痕だけが残っている。蒼と本当にしたのか疑える程。

けれど、間違いなく蒼と、繋がった感触は体に残っている。

昨日蒼に言ってしまった自分の想いを思い出して、恥ずかしくなり両手で顔を覆った。

これって、付き合ってることになるんだろうか、と一人浮かれているうちに蒼が目を覚ます。
「あれ、葵。おはよ。」
「お、おはよう。まだ5時過ぎだけど。」

何となく恥ずかしくて蒼の顔をまともに見れず、反対に顔を逸らした。

けれど昨日のことを話そうと思い、蒼の顔を向いた途端。


「そういえば、なんでここにいるんだっけ。」
「…え?」



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