壊せない距離

幼馴染という別れ

あの面接から数日が経った頃、ヘネアールから手紙が届いていた。

あまりにも早くて心配になったけれど、内容を読んでほっとした。

そして、これから忙しくなるなと今後の段取りを考え始める。


出社するエレベーターの中で堀田君と出会った。

「あ、水瀬。おはよ。」
「おはよう。社内で会うなんて珍しいよね。」

営業部はいつも忙しそうに、私達経理部より早めに出社しているから出勤で会うことはほとんどない。帰宅もほとんど残業で、階が違うから社内で会うことは珍しい。

「たしかに。水瀬がいつもより早く出勤してるからじゃないか。」
「そうだね、いつもより20分くらい早いかな。」
「へえ、朝ゆっくり出来て良いな。」

エレベーターが1階に到着して、数人と一緒にエレベーターに乗り込む。
こういう密室空間では不思議とみんな黙り込むから、沈黙が続いた。

経理部がある階で止まったとき、堀田君に「じゃあ」と告げようとすると、なぜか一緒に彼も降りてくる。