壊せない距離
「だからさ、そういうのでもなくて。って葵!先に帰ろうとするなよ。ごめんね。お疲れ様。」

彼に群がっていた女の子達をよけて、少し先を歩いていた私に駆け寄ってくる。

「葵、普通あそこでデートなんて言わないだろ。おかげで変に誤解された。」
「実際、蒼がデートだって言ってたじゃない。私は嘘なんてついてないけど。」
「事実だけど、相手は葵に決まってるだろ。」
「…え?」
「だから、ご飯。領収書遅れたお詫びにおごるから、行こう。」

さっきまでは私が先を歩いていたのに、驚いた瞬間立ち止まってしまって、いつの間にか蒼が前を歩いていた。

「言っただろ、葵のご機嫌を取りに来た、って。」



振り返った蒼は、私の大好きな笑顔で、私に笑いかけていた。



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