ねえ、知ってる?【下】



 そこまで歩いている間、大和くんはさっきのように手を繋いでくれなくて少しショックだった。


 でも、自分から繋ぐことも出来ずとぼとぼとついて行った。


 自分がこんなに大和くんに対して欲張りになっていたことに驚く。


 雅暉さんを好きだった時と同じように、少しのことで嬉しくなって、少しのことで悲しくなる。


 カフェから歩いて五分ほどのところにステージはあった。

 
 ショーがもうすぐ始まるということもあり、人が結構集まっていた。


 私たちは、ステージから真ん中の一番後ろの席を取った。


 近くで見ることは出来ないけど、一番後ろなのでステージ上の端から端まで見える。

 
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