ねえ、知ってる?【下】
「はい、大和くん!」
「・・・ありがとう。苗も、あげる」
少し照れながら袋を渡す大和くんは、とても可愛かった。
自分から言い出したのに、恥ずかしかったんだな・・・。
「わ~ありがとう。大事にするね!!」
私は大和くんが買ってくれたオオサンショウオを、袋ごと抱き締めた。
嬉しい。
私の中での水族館の思い出も、大和くんで更新されたよ。
「そろそろ出るか~。どっかご飯食べてく?」
「あ・・・今日はお母さんが早く帰って来るから、一緒にご飯食べる予定なんだ。ごめんね」
「そっか。じゃあそろそろ帰ろう」
「うん・・・!」
『ねえ』
そう呼び止めたいのに、どうしても勇気が出ない。