ねえ、知ってる?【下】
このままじゃ言えないまま大和くんが帰って行ってしまう。
駅からは反対方向だ。
静かに大和くんの後ろを歩いて水族館を出た。
水族館の前の広場を超えてしまうと、駅まですぐ着いてしまう。
もう閉館時間だったので、たくさんの人が広場にはいた。
袋を握りしめる力が強くなる。
私は広場の真ん中に来たところで大和くんの服の袖を掴んでいた。
「・・・・・・・・・苗、どうした?」
「・・・・・・・・・」
大和くんは立ち止まってこっちを向いてくれた。
向き合うと恥ずかしくて顔を見られない。
周りの人がこっちを見ている気がして、余計に恥ずかしくなる。