ねえ、知ってる?【下】



 ゆっくり呼吸を整える。


 胸の中で膨らんでいく、大事な大和くんへの思いを精一杯言葉にのせる。


「好き・・・・・・・・・」


 蚊の鳴くような弱々しい声だった。


 大和くんに、ちゃんと聞こえたかな。


 恥ずかしくて言い終わってからうつむいてしまったので、大和くんがどんな反応をしているのかわからない。


 周りの人の声がチラホラと聞こえてくる。


 大和くんは何も答えてくれなかった。


 怖くなって顔を上げた。


「ちょ、見るな・・・! 下向いてて」


「え・・・??」


 大和くんは慌てて顔を背けた。


< 113 / 158 >

この作品をシェア

pagetop