ねえ、知ってる?【下】
「・・・・・・大和くん・・・?」
「あーーーもう。何! なんか悪い?」
「・・・・・・照れてるの?」
「・・・・・・・・・黙って」
大和くんは赤くなった顔を私に向けた。
それを見て私も顔が赤くなった。
「ちょ、もう、見ないで」
そういうと、大和くんは広場の真ん中で私を抱き寄せた。
「はっ、恥ずかしいよ・・・!! みんなに見られる・・・!」
「やだ。もう苗しか見えない。すげえ嬉しい・・・ 」
そう言うと、大和くんは離れて手を握ってくれた。
伝わってくるぬくもりが、私を安心させてくれる。
心臓がバクバクと音を鳴らしていた。
なんとも言えない、不思議な感覚。
まるでこの世界に二人きりになったみたいだ。
確かにそこには人がいるのに、そんなものは気にならなくなった。