ねえ、知ってる?【下】
必死だった。
学習塾の先生と生徒であるという立場上、これが報われることなんて別に望んでいなかった。
ただ、他の誰にも和田先生を取られたくなかった。
俺の中学時代の思いでは、和田先生だった。
周りが付き合うやら、デートやらで浮かれ初めても、俺はほぼ毎日、部活語に塾に通って先生と話した。
『誰にも言っちゃダメだよ』
そう言って連絡先も教えてくれた。
本当に嬉しかった。
ドキドキしながら初めてのLINEを送ったことを、未だに覚えている。