ねえ、知ってる?【下】
「始まりと終わり」(雅暉side)
「雅暉くん、あたし実家に帰らなきゃいけないかもしれない」
「そっか」
わかっていたことだ。
美舟と一緒にいると、いつも「終わり」を感じていた。
初めて会った時、なんて綺麗な人なんだろうと思った。
見た目はボロボロだった。
でも顔立ちがとても綺麗で、オーラも他の人とは違った。
ぶっちゃけ、タイプという訳ではなかった。
それでも、ボロボロな姿で店の近くにへたれこんでいた美舟に声をかけずにはいられなかった。
「ねえ、どうしたの??」
「あ・・・・・・。何でもないです」
「おいで。ご飯食べよ」
「あ・・・いや・・・・・・」
俺は自分の勤め先だったカフェに美舟を連れて入った。
すました顔であんまり笑わない。
どこからどう見ても普通じゃなかった。